不動産取得後にも必要な行政手続
海外投資家による日本不動産取得では、売買契約、代金決済、所有権移転登記が完了すれば、すべての手続が終了するわけではない。財務省が2026年2月に公表した案内によると、非居住者が日本国内の不動産またはその権利を取得した場合、外国為替及び外国貿易法に基づく事後報告が必要となる。報告は取得後20日以内に、日本銀行を経由して財務大臣へ提出する制度である。
国籍ではなく居住者区分が重要
この制度を理解する際には、外国籍であることと非居住者であることを区別しなければならない。財務省の案内では、日本国内に住所または居所を有する個人や、国内に主たる事務所等を有する法人などについて、居住者の定義が示されている。日本国籍を有する海外居住者であっても、非居住者として扱われる場合がある。一方、日本に生活拠点を持つ外国籍の個人が、国籍だけを理由に当然に非居住者となるわけではない。個別の居住者区分は実際の生活・事業の状況に基づいて確認する必要がある。
日本国内の代理人による報告も可能
財務省は、取得した非居住者本人だけでなく、日本国内に居住する代理人による報告も認めている。報告書は日本語で作成する必要があり、日本語に不慣れな海外投資家については、日本国内の代理人を通じた提出が推奨されている。実務上は、取得日、取得した不動産の内容、取得者情報、代理人の権限などを整理し、期限内に提出できる体制を準備することが重要となる。
報告制度と不動産取得の可否は別問題
取得後の報告義務は、それ自体が外国人による日本不動産取得を全面的に禁止する制度ではない。また、外為法上の報告と、登記申請、税務申告、金融機関の本人確認は、それぞれ目的と根拠が異なる。投資家はこれらを一つの手続と混同せず、個別に必要性を確認する必要がある。取得する不動産の種類や取引形態によっては、別の法令や行政手続も関係する可能性がある。
海外投資家への実務的な意味
海外居住者が日本の不動産を購入する場合、売買契約前から取得後の報告担当者を決めておくことが望ましい。特に、取得者が日本語を使用できない場合や、日本国内に継続的な連絡先を持たない場合には、決済後の対応が遅れやすい。取得日を基準に報告期限を管理し、提出書類の控えを保管することが、将来の売却や追加取得に際しても有用となる。
今後の確認事項
海外投資家は、財務省と日本銀行が公表する最新の報告様式、提出方法、対象となる権利の範囲を確認する必要がある。制度の理解では、外国人による所有の可否という一般論だけでなく、実際の取得者が非居住者に該当するか、どの報告が必要か、誰が提出するかという具体的な判断が重要である。