香港の基準金利は4.25%へ
香港金融管理局は2026年9月17日、基準金利を4.25%に引き上げた。米連邦準備制度理事会が米国時間9月16日に政策金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げたことを受けた措置である。香港ドルは米ドルとの連動を維持する制度を採用しており、米国の金融政策が香港の金融環境に直接波及しやすい。
香港金融管理局の基準金利は、米国の政策金利目標レンジ下限に0.5ポイントを加えた水準と、香港銀行間取引金利の所定の移動平均から算出される水準のうち、高い方を採用する。今回の計算では前者が4.25%、後者が2.50%となり、基準金利は4.25%に設定された。
ただし、この基準金利は金融管理局のディスカウント・ウィンドウ取引に関する金利の基礎であり、民間銀行の融資金利そのものではない。香港ドル建てで資金調達する投資家は、実際の融資条件と金利改定条項を確認する必要がある。
シンガポールでは物価上昇圧力が強まる
シンガポール金融管理局と貿易産業省が9月23日に公表した8月の消費者物価統計では、コアインフレ率が前年同月比2.2%となり、7月の2.0%から上昇した。総合インフレ率も2.2%から2.3%に上昇した。サービス、食品、小売商品などの価格上昇がコア物価を押し上げている。
シンガポールは短期政策金利を主要な操作目標とする香港とは異なり、シンガポールドルの名目実効為替レートを中心に金融政策を運営している。このため、物価上昇が金融政策や対円為替に与える影響は、香港と同じ経路では説明できない。
日本不動産投資への資金配分
香港やシンガポールの投資家が日本不動産を購入する場合、現地通貨と円の交換レート、現地での資金調達費用、日本国内の賃貸収益を同時に比較する必要がある。香港ドル建て借入金を利用して円建て不動産を取得する場合、借入通貨と資産通貨の不一致による為替リスクが発生する。
一方、自己資金による購入であれば借入金利の直接的な影響は限定されるが、現地の預金や債券などの運用利回りが上昇すれば、日本不動産に要求する収益率も変わり得る。海外投資家にとって重要なのは日本の表面利回りだけでなく、自国通貨に換算した税引き後の実質収益である。
今後の確認事項
香港では米国の政策金利、香港銀行間取引金利、主要銀行の実際の貸出金利を確認したい。シンガポールではコアインフレ率と為替政策の方向性が重要となる。日本側では日本銀行の金融政策と賃料・不動産価格の関係が投資収益を左右する。
香港とシンガポールを同じ海外投資家市場として一括りにするのではなく、資金の保有通貨、借入通貨、投資期間、最終的な資金回収先を区別することが、日本不動産投資の収益とリスクを適切に評価する前提となる。