投資市場の強さと住宅流通市場の減速が同時進行
日本不動産市場のセンチメントは明確に二極化している。CBREによれば2026年第2四半期の国内商業用不動産投資額は1兆1210億円で前年同期比17%増加し、第2四半期として2008年以来初めて1兆円を超えた。東京のプライムオフィスやホテルでは期待NOI利回りが過去最低を更新しており、希少な優良資産に対する投資家の取得意欲は依然強い。
中古マンションでは買い手の価格感が変化
これに対し、首都圏中古マンション市場では2026年夏以降、成約件数の減少と在庫増加が目立つ。東日本レインズの8月データでは首都圏の成約件数は前年同月を下回り、成約価格・成約平方メートル単価も前年同月比で下落した一方、新規登録と在庫は増加した。特に東京都区部では成約件数の減少が大きく、高値で売り出す売主と金利上昇を意識する買主との価格認識に距離が生じている。
これは日本不動産全体の下落を示すものではない。商業不動産では機関投資家が賃料成長、物件希少性、長期資産配分を基準に判断する一方、中古マンションでは住宅ローン金利や家計所得、実需購入者の月々の返済能力が価格形成に直接影響する。したがって同じ東京でも市場参加者と資金調達構造によってセンチメントは異なる。
海外投資家には選別市場が好機となる
海外投資家にとって重要なのは、日本市場全体の平均価格ではなく、売主側の価格期待と実際の成約価格の差である。在庫期間が長く、借入負担や資産入替の必要性がある売主ほど価格交渉余地が生まれやすい。一方、賃料上昇が続く都心プライム資産では競争が強く、単純な値下がり待ちは機会損失になり得る。現在のセンチメントは全面的な弱気ではなく、「優良資産への資金集中」と「高値物件の流動性低下」が共存する選別相場と評価するのが適切である。