中国経済は一枚岩ではない
2026年夏の中国経済を理解するうえで重要なのは、「景気が強いか弱いか」という単純な二択を避けることである。8月の輸出は前年同月比25%増、輸入は28.2%増となり、高技術製品やAI関連需要が製造業を強く支えた。世界のAI設備投資に組み込まれた中国企業には明確な追い風がある。一方、住宅、家計心理、民間信用需要では回復力が弱い。
不動産市場は依然として家計の重石
7月の主要70都市新築住宅価格は全体として前月比0.1%下落、前年同月比3.2%下落した。上昇した都市は17都市にとどまり、大都市と地方都市の格差も続いている。不動産価格の弱さは住宅開発投資だけでなく、家計の資産効果、耐久財消費、民間企業の担保価値にも波及するため、中国の国内需要回復を考える際の中心課題である。
政策は緩和的だが、万能ではない
中国人民銀行は適度に緩和的な金融政策を続け、流動性を十分に保つ方針を明確にしている。しかし、金利を下げれば住宅需要が自動的に戻る局面ではない。さらに8月はCPIが0.8%、PPIが3.8%上昇し、エネルギー価格の上昇が物価を押し上げた。金融当局には内需支援、人民元安の抑制、輸入インフレ管理を同時に行う難しさがある。
中国投資家から見た日本不動産
こうした環境では、中国国内の住宅価格上昇だけに依存しない資産形成への関心は続きやすい。東京不動産は法制度、賃貸市場、円建て資産という点で分散先となり得る。特に事業所得や金融資産が安定している投資家にとって、日本の住宅・収益不動産は国内不動産とは異なる景気循環を持つことが価値となる。
ただし「中国マネー」を一括りにしてはいけない
輸出・テクノロジー関連企業の経営者と、不動産関連収入に依存する家計では資金余力が大きく異なる。人民元相場、海外送金制度、国内不動産の売却流動性も投資実行を左右する。今後、日本市場で重要なのは中国人投資家の人数ではなく、どの産業・所得層の資金が動いているかを見極めることである。