第2四半期として金融危機後初の1兆円超え
日本の不動産投資市場は、金利正常化が進む中でも高い取引量を維持している。CBREによると、2026年第2四半期の国内事業用不動産投資額は前年同期比17%増の1兆1,210億円となり、第2四半期として2008年の世界金融危機直前以降で初めて1兆円を超えた。オフィスと物流施設の投資額が前年同期比2桁増となり、国内投資家による100億円以上の大型取得が市場を押し上げた。
金利上昇でも東京プライム資産の利回りは低下
通常、国債利回りや借入金利が上昇すれば不動産の要求利回りにも上昇圧力がかかる。しかし第2四半期には東京のプライムオフィスとホテルの期待NOI利回りが前期比5ベーシスポイント低下し、いずれも過去最低を更新した。これは金利上昇の影響を、賃料上昇期待、物件の希少性、将来収益への期待が上回っていることを示す。
地価も都市部では全面的な上昇基調
国土交通省が6月に公表した直近の地価LOOKレポートでは、主要都市の高度利用地44地区すべてで地価が上昇した。住宅地では利便性と住環境に優れた地域のマンション需要、商業地では再開発、観光客増加による店舗・ホテル需要、底堅いオフィス需要が価格を支えた。さらに9月8日公表の4~6月期実質GDPは前期比0.4%増となり、国内経済も不動産需要を急激に悪化させる状況にはない。
海外投資家には「円安だから買う」戦略の再検討が必要
一方、海外投資家の投資条件は変化している。円は9月に急速に上昇し、外貨ベースの取得価格は上昇した。さらに日銀の追加利上げが実施されれば、円建て借入を利用する投資家の資金調達コストも上がる。したがって今後は、為替の割安感だけを理由に日本を買う戦略より、賃料増額余地、稼働率、再開発効果、ホテルADRなど実際のNOI成長を確保できる資産の選別が重要になる。
価格と金利の綱引きはこれから本格化
CBRE調査では2027年末までに期待利回りが上昇すると予想する回答者が以前より増えている。これは現在の強い取引市場と将来の価格調整リスクが共存していることを意味する。日銀の政策金利、長期国債利回り、銀行貸出金利がさらに上昇した場合、収益成長の弱い物件から価格調整が始まる可能性がある。日本市場全体を一括して強気・弱気と判断するより、金利上昇を吸収できるNOI成長力を持つ資産と、低利回りだけが先行した資産を区別する局面である。