月間戦略2026-09-09T05:50:00+09:00

月次展望:日本不動産は「高値でも資金流入」が継続―9月以降は金利耐性が投資成績を分ける

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8月の確認事項は「高値でも資金が止まっていない」こと

2026年8月から9月初旬に公表されたデータを総合すると、日本不動産市場は金融正常化によって崩れる局面には入っていない。CBREによる第2四半期の事業用不動産投資額は1兆1,210億円、前年同期比17%増となり、第2四半期として2008年以来初めて1兆円を超えた。JLLも9月3日に公表した市場レポートで日本の投資市場と東京・大阪・福岡の主要セクターを引き続き注視している。資本は撤退しているのではなく、より収益力の高い物件へ選別的に向かっているとみるべきだ。

実体経済は不動産収益を支える

9月8日公表の2026年4-6月期GDP2次速報では実質GDPが前期比0.4%増、名目GDPが1.3%増となった。景気がプラス成長を維持することは、企業のオフィス需要、家計の住宅需要、観光・消費関連施設の売上にとってプラスである。2026年地価公示でも全国の住宅地、商業地、全用途平均が5年連続で上昇し、東京圏では上昇幅が拡大した。実需と投資需要の双方が地価を支える構造はまだ崩れていない。

しかし金融環境は明確に変わった

一方、投資家が過去数年と同じ前提を使うことは危険である。日銀は6月に政策金利を1%へ引き上げ、7月31日はその水準を維持した。7月全国CPIは総合1.9%、生鮮食品を除く総合1.8%まで鈍化したものの、日銀は7月展望で2026年度後半から物価上昇率が再び2%を明確に上回る可能性を示し、見通しが実現すれば追加利上げを行う姿勢を維持した。超低金利を永久的な前提とする投資モデルは修正が必要である。

価格上昇局面から収益成長局面へ

CBREによれば東京のプライムオフィスとホテルの期待NOI利回りは第2四半期に過去最低を更新した。これは買い需要の強さを示すが、同時に安全余裕が小さくなったことを意味する。金利が上昇しても賃料が同じペースで上がれば資産価値を維持できるが、NOIが横ばいの物件ではキャップレートがわずかに上昇するだけでも価格への下押し圧力が大きくなる。今後の超過収益は市場全体の値上がりより、個別物件の賃料改定や運営改善から生まれる可能性が高い。

海外投資家は為替・金利・出口を一体で見る必要

海外投資家にとって円相場は依然重要だが、円安だけで日本不動産の割安性を判断するのは不十分である。円安が物価を押し上げれば追加利上げにつながり、取得後の借換えコストや出口利回りに影響するからだ。逆に円高になれば外貨ベースの取得価格は上昇する一方、既存投資家には為替益となり得る。したがって入口為替、物件NOI、借入金利、5年程度先の出口キャップレートを同一モデルで評価する必要がある。

9月以降の判断軸

次の重要イベントは9月17-18日の日銀会合である。今後1カ月は、政策金利の方向、円相場、長期金利、東京の賃料、投資家の期待利回りを重点的に確認したい。日本不動産市場の基礎体力は依然強いが、すべての物件が上昇する局面から、金利上昇を上回る収益成長を実現できる資産だけが評価される局面へ移行している。2026年秋の投資戦略では「日本を買うか」より「どの収益構造を買うか」が重要になる。

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