中国経済は外需の強さと内需の弱さが同居
9月時点の中国経済を一つの景気指標だけで説明することは難しい。8月のドル建て輸出は前年同月比25.0%増となり、輸入も28.2%増加した。ハイテクやAI関連需要が輸出を押し上げ、外需は中国経済の大きな下支えとなっている。一方、8月の非製造業PMIは49.0と50を下回り、新規受注指数も44.1にとどまった。国内サービス・建設活動には依然として弱さがある。
不動産市場の調整はさらに深い
国家統計局によれば、2026年1~7月の不動産開発投資は4兆3009億元で前年同期比19.2%減少した。新築商品房販売面積は4億5021万平方メートルで11.8%減、販売額は4兆2718億元で13.1%減。新規着工面積も24.0%減っている。7月の主要70都市住宅価格でも北京の新築住宅価格指数は前年同月比2.3%低い水準にあり、全国的な調整が終了したと判断できる材料はまだ乏しい。
海外資産分散の理由は「中国悲観」だけではない
中国投資家が日本不動産を検討する背景を、単純な中国からの資金逃避と見るのは適切ではない。輸出企業、テクノロジー企業、国際事業を持つ経営者などには依然として資産形成力があり、その一方で国内住宅・商業不動産への集中投資の合理性は以前より低下している。香港やシンガポールの資産管理機能を利用し、異なる通貨、法制度、賃料収入を持つ資産へ分散する経済合理性が高まっていると見るべきである。
日本不動産は「安い日本」から「安定収益」へ評価軸が変わる
ただし日本側でも円高と金利上昇が始まっているため、過去のように円安だけを購入理由にする局面ではない。東京ではオフィス賃料が上昇し、海外機関投資家による大型取得も続いているため、今後の中国系投資家には物件価格より賃料成長、管理品質、流動性、出口市場を重視する姿勢が必要になる。中国国内不動産が低迷しても、中国景気そのものが急激に悪化すれば海外投資余力も低下する。したがって中国の不動産販売、輸出、企業収益、人民元と日本の円・金利を同時に見ることが、対日投資のタイミング判断には不可欠である。