東京市場2026-09-07T16:27:00+09:00

東京不動産は「価格上昇」から「収益成長の検証」へ―低空室率と過去最低利回りが示す次の局面

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東京オフィスの需給は引き続き貸主優位

2026年4~6月期の東京オフィス市場は、価格だけでなく賃貸ファンダメンタルズの改善が鮮明だった。CBREによると東京オールグレードの空室率は前期から0.1ポイント低下して1.4%。主要5区は1.0%、グレードAは0.6%と極めて低い水準にある。企業の拡張移転、より高品質なビルへの移転、館内増床などが需要を支え、既存ビルの空室や今後竣工する物件への問い合わせも強まっている。

賃料上昇が資産価格の根拠になり始めた

オールグレードの想定成約賃料は坪当たり2万4930円で前期比2.9%上昇、前年同期比では11.7%上昇した。グレードAは4万5100円で前年同期比17.3%、グレードAマイナスは3万50円で19.5%上昇している。これまで東京不動産の価格上昇は低金利や海外投資家の資金流入による利回り低下で説明される局面が多かったが、現在は賃料という実際の収益側にも上昇圧力が出ている点が重要である。

一方、投資利回りには余裕が少ない

CBREの6月調査では東京・大手町のプライムオフィス期待NOI利回りは前期比5bp低下して3.10%となり、ホテルとともに過去最低を更新した。4~6月期の国内事業用不動産投資額は前年同期比17%増の1兆1210億円で、第2四半期として2008年以来初めて1兆円を超えた。つまり賃貸市場が強いだけでなく、投資資金の競争も依然として強い。

海外投資家は「東京全体」ではなく物件ごとに見る段階

利回りが低い局面では、東京だから買えばよいという判断は成立しにくい。賃料改定余地、テナント構成、築年、修繕費、再開発可能性、出口時の買い手層によって収益性の差が拡大する。特に海外投資家は円安だけを取得理由にすると危険である。取得後に円高へ転換すれば為替益を得られる可能性がある一方、日本の金利上昇によってキャップレートが上昇すれば、円ベースの物件評価額が下落する可能性もある。

住宅価格の平均値にも注意が必要

東京都心では高額新築マンションの供給が平均価格を大きく押し上げるケースがあるため、月次の平均価格を既存住宅を含む市場全体の値上がり率として扱うべきではない。投資判断では実際の成約事例、㎡単価、築年、賃料、管理費、修繕積立金を物件単位で比較する必要がある。

今後はNOI成長が主役

東京市場の次の局面では、金利低下による評価益よりも、賃料引き上げ、稼働率維持、運営改善によるNOI成長が重要になる。低空室率は強い追い風だが、同時に過去最低水準の期待利回りは価格に相当な好材料が織り込まれていることを示す。今後は「東京を買う」市場から「収益を伸ばせる東京の物件を選ぶ」市場への移行が進むとみるべきだ。

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