円安一本槍だった為替環境に変化
日本不動産を外貨で購入する投資家にとって、2026年夏まで最大の追い風だったのは歴史的な円安だった。しかし9月に入り、為替市場の構図は明確に変化している。ロイターによれば、円は9月7日のアジア市場で1ドル=156.01円まで上昇した。7月には対ドルで40年ぶりの安値となる163円台まで下落していたため、短期間で相当規模の円高修正が進んだことになる。
政策当局が円安を放置しないことが確認された
転換点となったのは日本当局の実力行使である。財務省によると、2026年7月30日から8月26日までの外国為替平衡操作額は15兆3,993億円に達した。市場参加者にとって重要なのは金額そのものだけではない。極端な円安が進めば政策当局が介入するというテールリスクが現実化したことで、円売りを長期間維持する戦略のリスク・リターンが変化した。
日米金利差は依然大きいが方向性は複雑化
日銀は6月に政策金利の指針を0.75%程度から1.0%程度へ引き上げ、次回会合を9月17、18日に予定している。市場では追加利上げ観測が強い。一方、米国では8月雇用統計が予想を上回り、FRBの9月利上げ観測も上昇した。したがって、円高が直線的に続くとは限らない。米金利上昇はドルを支える一方、日本の利上げと円売りポジションの解消は円を支えるため、二つの力が衝突する高ボラティリティ局面と考えるべきだ。
日本不動産への意味
海外投資家にとって現在の為替環境は、単純な「円安だから買う」という判断から、取得価格と出口為替を分けて考える段階に移った。ドルや香港ドルなどから見れば156円前後の円は長期的な尺度では依然として円安水準であり、日本資産の取得価格には外貨ベースの割安感が残る。一方、購入後に円が145円、140円方向へ上昇すれば、円建て不動産価格が横ばいでも外貨換算した資産価値は増える。
反対方向のリスクも大きい
ただし、米国のインフレが再加速しFRBが追加利上げを続ければ、日米金利差が再びドル高を促す可能性がある。原油高も輸入国日本には円安材料となり得る。したがって海外投資家は、物件利回りだけでなく取得時為替、借入通貨、賃料収入の通貨、売却時の資金回収通貨を一体で管理する必要がある。今後最大の焦点は9月15、16日のFOMC、9月17、18日の日銀会合、そして米国インフレ指標である。為替が日本不動産投資の補助要因ではなく、総合収益率を左右する主要変数になっている。