9月7日の日本投資環境は、為替面の入口優位が残る一方、金利上昇への警戒が一段と重要になっている。USD/JPYは156.01円前後となり、7月末の164円近辺からは円が大きく反発した。ドル投資家の日本資産取得コストは最安値局面より上昇したものの、156円という水準自体は長期比較では依然として円安であり、外貨から日本不動産へ資金を移す際の優位性は完全には失われていない。
ただし9月は金融政策が大きな変動要因となる。日銀は政策金利を1.00%としており、17〜18日の金融政策決定会合では1.25%への追加利上げ観測が強い。日本10年国債利回りは9月1日に3%へ到達し、財務省の10年国債入札でも平均落札利回り2.995%を記録した。9月7日には2.91%前後まで低下したものの、日本の長期金利が従来とは異なるレンジへ移行した事実は不動産投資に直接影響する。
プライム不動産ではこの影響が特に大きい。CBREの2026年第2四半期調査では東京大手町のプライムオフィス期待NOI利回りは3.10%まで低下している。国債利回りとのスプレッドが縮小したため、賃料上昇がない資産では価格を維持する条件が厳しくなった。一方、東京オフィスの実需は強い。ColliersによるとGrade Aオフィスの空室率は1.3%、平均賃料は39,900円/坪で前期比3.9%上昇した。需要が新規供給を上回っており、優良立地では貸主優位の状態が続く。
海外投資家にとって今日のポイントは、円が安いから買うのではなく、円がまだ安いうちに「金利上昇を上回るNOI成長が可能な物件」を確保することである。既存賃料が市場賃料を下回る物件、高稼働の駅近資産、テナント入替や改修によって賃料を引き上げられる物件は相対的に有利となる。逆に3%前後の低い利回りだけで保有し、賃料上昇余地がない資産では出口時のキャップレート上昇が収益を圧迫しやすい。
今週以降は米国インフレ指標、9月15〜16日のFOMC、17〜18日の日銀会合が連続する。円が155円を割り込むか、再び160円方向へ戻るかは新規投資の外貨コストを変えるが、中期的には為替より賃料、借入金利、出口利回りの組み合わせが重要である。現時点では全面的なリスク回避ではなく、レバレッジを抑え、賃料成長力の高い資産を選ぶ局面と判断する。