中国経済は「輸出が強く、国内投資が弱い」
2026年の中国経済を理解するうえで最も重要なのは、成長率そのものより構成の偏りである。国家統計局によると4~6月期の実質GDPは前年同期比4.3%増となり、上期では4.7%増だった。一方、1~7月の固定資産投資は前年同期比6.7%減、不動産開発投資は19.2%減となった。新築商品房販売面積は11.8%減、販売額は13.1%減で、住宅・不動産部門は依然として景気の大きな重石である。
外需が景気を支える構図
対照的に輸出は強い。9月7日時点のロイター調査では、8月輸出は前年同月比で高い伸びが予想されており、AI関連を含む製造業の外需が国内需要の弱さを補っている。ただし、この構造は貿易摩擦や世界景気に対する中国経済の感応度を高める。外需が減速した場合、国内不動産と消費が十分回復していなければ景気下押しが大きくなる。
日本不動産には「分散需要」と「購買力低下」が同時に作用
中国国内不動産の長期調整は、日本不動産にとって一方向の好材料ではない。確かに中国住宅への集中投資を避け、東京など海外の実物資産へ地域分散したいという動機は強まりやすい。特に日本には賃貸市場、法制度、登記制度、管理会社、売買市場などが整備され、海外投資家が長期資産として評価しやすい側面がある。
しかし国内住宅価格や企業収益が弱ければ、中国投資家自身の資産効果も悪化する。さらに中国本土から海外不動産へ資金を移すことには制度上の制約があるため、投資意欲がそのまま実需になるわけではない。実際の購買力を判断するには、投資家が既に香港、シンガポール、その他海外口座・法人に合法的資金を保有しているかを確認する必要がある。
人民元の方向も重要になる
人民元は対ドルで上昇してきたが、中国当局は急速な一方向の上昇を抑える姿勢をみせている。日本不動産投資ではドル/円だけでなく人民元/円のクロスレートが実際の取得コストを決める。円安が進んでも人民元が同時に弱くなれば、中国投資家にとって日本が必ずしも安くなるとは限らない。
中国系資金を一種類として扱わない
今後の日本市場では、中国本土居住者、香港居住者、シンガポールのファミリーオフィス、中国系企業の海外法人などを区別することが重要になる。同じ中国系資本でも、資金所在地、投資期間、税務、融資、為替ヘッジ能力は大きく異なる。特に東京の高額物件では、既にオフショア化された資本の動向が実際の成約を左右しやすい。
今後の注目点
中国を見る際はGDPだけでなく、不動産販売、開発投資、家計信用、人民元、香港への資金フローを同時に確認すべきである。日本不動産への分散需要は中期的に残る可能性が高いが、その規模は中国経済の弱さではなく、投資家が実際に動かせる海外資金の量によって決まる。